青年学生代表団が平昌オリンピック南北共同応援に参加してきました!〜代表団報告、平昌オリンピックの意義を振り返る〜

今回私たち韓青は、2月8日から12日にかけて「平昌オリンピック南北共同応援韓統連代表団」の一員として青年学生代表を派遣しました。

4泊5日の派遣期間を通じて、オリンピック史上初の南北合同チームの応援をはじめ、開幕式での合同入場、会場を覆い尽くす統一旗と「ウリヌン ハナダ(私たちは一つだ)」の声援、朝鮮半島の平和と南北統一を求める人々の熱気と希望に触れ、平昌を越え平和と統一を実現していく決意と約束を南北海外の同胞たちと交わしました。

その中で私たちが克服していくべき課題も明らかになりました。青年学生代表の活動報告とともに、直接現地で触れたこと、感じたことをお伝えすることで、今回の平昌オリンピックの意義を振り返えることができればと思います。

長文になりますが、写真も多めの記事になっていますので、ぜひお読みください。

平昌オリンピックまでの経緯

2017年末、朝鮮半島は一触即発の戦争危機に直面していました。キャンドル革命によって誕生した文在寅政権に南北関係改善の期待はありましたが、実際には米トランプ政権が進める「制裁強化」、軍事的圧迫政策に追従して、南北対話の糸口すら見えない状況でした。文在寅大統領は昨年6月、北側に平昌オリンピックへの参加を呼びかけ、12月にはオリンピック期間中の韓米合同軍事演習の延期検討を表明していましたが、北側がそれに応えるという状況もありませんでした。

しかし、金正恩・朝鮮労働党委員長が1月1日の新年辞を通じて、平昌オリンピックへの代表団派遣と南北対話の用意があることを表明すると、状況は急速に動き出しました。文大統領は2日、即座に歓迎の意を表明し、統一省も同日板門店での南北高位級会談を提案。4日にはオリンピック期間中の韓米合同軍事演習の延期に韓米両首脳が合意し、その翌日に北側が南側の提案を受諾。そうして1月9日に板門店で開かれた南北高位級会談では、選手団、高位級代表団、応援団、芸術団、記者団の派遣と、軍事会談や高位級会談などの開催に合意しました。17日の南北実務協議では開会式で統一旗(朝鮮半島旗)を掲げた合同入場、女子アイスホッケーの南北合同チーム結成、北側は応援団230人を派遣して南北を合同応援、日本からの総連応援団の活動保障など11項目が合意され、国際オリンピック委員会もこれを積極的に支持し、北側の参加を承認しました。

1月25日には北側の女子アイスホッケー選手団が南側を訪れて南北合同練習が始まり、31日からは南北の選手が参加する中、北側の馬息嶺スキー場での南北合同練習が行われました。2月1日に北側選手団、7日にはオリンピック代表団、応援団などがそれぞれ京義線の陸路を利用して平昌入りをしました。朴槿恵政権が一方的に開城工団を閉鎖して以来、閉ざされてきた通路が開通したのです。また6日には北側の三池淵管弦楽団が万景峰号に乗って海路で南側を訪問。そして開会式に合わせて金正恩・朝鮮労働党委員長の実妹で特使である金与正・党宣伝部第一副部長、金永南・最高人民会議常任委員長らの破格と言える北側の高位級代表団の訪南が伝えられました。

北側の参加だけにとどまらず、陸海空すべての通路を通じて南北が行き交い、「KOREA」として統一チームを結成・参加する。これほどの大きな動きがオリンピック開催までのわずか一ヶ月ほどで合意、実現したことは驚きを通り越して、奇跡的にさえ感じられました。南北で開催される行事の準備のために、南と北の先発隊が矢継ぎ早に訪南、訪北し交流する姿は、まさに新たな統一新時代の訪れを感じさせる光景でした。凍りついた分断の壁が急速に溶け出し、南北の和合と平和の扉が大きく開いたのです。

南北共同オリンピックに向けた韓国国内の反応

韓国国内では北朝鮮の平昌オリンピック参加に対して概ね肯定的な反応でしたが、二つ争点になったことがあります。開会式の南北合同入場で統一旗を使用すること、そして女子アイスホッケー南北合同チームについてです。

旗の問題は主に保守勢力、保守野党から提起されたもので、韓国で行うオリンピックで国旗、太極旗を使わないのはおかしい、「平壌オリンピックだ」といった反北イデオロギーを煽る主張です。太極旗を持って非常に差別排他的な方法で展開されましたが、実際にその主張が支持を得ることはありませんでした。というのも、先のキャンドル革命によって積弊清算の対象とされ転落した勢力による極端で暴力的な主張であり、太極旗とともに米国の星条旗、イスラエル国旗まで!も掲げてがなりたてるその主張は、一般の人々の共感を得るようなものではなかったからです。日本でも大きく取り上げられて、実際にオリンピック会場付近でもこのような人々はいましたが、参加者からはほとんど無視され、実際の影響力は無いに等しいものでした。

青年にとって大きな関心事となったのは、女子アイスホッケー合同チームの問題です。批判の多数は、「南北和解という政治的な目的に沿って『飛び入り』する北朝鮮選手によって、韓国選手の出番が奪われるのは『不公正』だ」という指摘でした。平昌の「成功」をなりふり構わず追求する政府のやり方が、キャンドル革命で清算を目指した積弊、特権による不公正が繰り返されるというイメージを想起させました。また、過去9年間、李明博、朴槿恵保守政権下で南北関係が断絶させられてきたため、現在の20、30代は南北の交流と和合、統一に対する実感が弱いと言われています。統一よりも目先の生活、安定した将来への希求が強いというのも、苦しい青年の状況をみれば当然といえるでしょう。

しかし、実際にオリンピックが開幕した後の統一チームに対する世論調査によると、20代では「良い」が51%(開会式前28%)、「良くない」が34%(同62%)で肯定評価が23%増えています。南北の選手たちが一つになっていく姿を直接目の当たりにし、それを北の同胞とともに応援することを通じて、青年の意識も変わったのです。実際、青年たちの希望に満ちた笑顔、応援の歓声は、熱狂と言えるほどすごいものでした。

在日同胞青年学生として代表団派遣を決定

このような青年の意識状況は韓国国内に限ったことではなく、私たち在日コリアン青年にとっても同様です。差別・排外主義が吹き荒れる日本において、民族のルーツを持って生きることだけでも大変であるのに、海を隔てた祖国の問題、南北の統一に対して実感を持てるかというと、本当に難しいことです。まして、日本における反北反韓の報道はとどまることを知らず、南北の和解と交流に水をさすどころか、朝鮮半島の平和、南北統一への取り組み自体が悪いというような意見すらも溢れています。

私たち韓青・学生協はこの状況だからこそ、在日コリアン青年を連れて直接現地に参加し、南と北の同胞と出会い、平和とは、統一とは何かということを体感しなければならないと思っていました。そして、韓米合同軍事演習の延期という「小さな平和」、平昌オリンピック南北合同参加という「小さな統一」を大きく育てなければならないと決意し、代表団を派遣することを決定しました。

急激な展開だったのでチケット確保もままならず、スケジュールも最後まで未確定で準備に不安はありましたが、若い青年と学生を中心に代表団を構成して平昌へと旅立つことになりました。

祖国でのオリンピック応援に参加して

実際に祖国・韓国の地に足を踏み入れた瞬間から、全てが変わりました。仁川空港には南北共同応援関連の事業で多忙を極める中でも迎えに来てくれた南側の青年たちが待っていました。統一運動の中で出会った同志との再会が、私たちの不安を消し去りました。南北海外の出会いを祝福してか、厳しいとされた寒さも和らいでいました。

そして想像以上に街にあふれる統一旗。平昌や江陵の会場付近では、道や建物にも統一旗が掲げられており、青年や学生たちが統一旗を手にそこかしこで歌や踊りなどのパフォーマンスを行っています。保守団体による反対集会や「太極旗部隊」は目には入ってはきましたが、会場付近では相手にされていないという状況でした。日本では過剰に喧伝されていましたが、特に大会が始まってからは南北和合の雰囲気が高まり、より影響力を失っていったようです。

日本で多くの人に寄せ書きをしてもらった大きな統一旗を持って参観した開幕式では、12年ぶりとなる南北合同入場に対して世界中の人々とともに祝福の拍手を送り、今回の平和オリンピックの象徴である女子アイスホッケー統一コリアチームの南北選手の聖火リレーに涙が溢れました。南北の和解、平和に対する確かな意志が込められて、感動と希望で笑顔が溢れていました。

統一チームの応援では、観客席やパブリックビューイングの場などで、本当にたくさんの人が統一旗をもって「ウリヌン ハナダ!(私たちは一つだ)」と声をあわせて応援していました。競技場では北側、南側の応援団が垣根なく相互に応援を共有したり、会場を巻き込んでともにウェーブをしたりと、統一応援団と言える状況が作り出されました。一部の人がというのではなく、多くの一般の市民が、青年や学生が自主的に参加しており、私たちも数千人の市民と力の限りに応援しました。

試合の結果は残念でしたが南北海外の全ての同胞がともに観戦し、一喜一憂しながら気持ちを一つに応援できたことに何よりも重要な意味があったと思います。事前にあった統一チームに対する公正性の物議なども、チームが一つになっていく姿を見て、より肯定的なものに変わっていきました。

民族の和合、統一の意味を実感した場所

オリンピックとあわせて、今回の行程でもう一つのハイライトが、6.15南側委員会が主催した「民族和合ハンマダン」という行事でした。北側代表団の参加は叶いませんでしたが、私たち以外にも日本からは総連代表団も参加し、3,000人もの人が民族の和合と統一のために韓国全土から集まりました。開幕式の感動で想定の倍以上の参加者が集まったそうで、内容もとても感動的なものでした。

私たちは海外の青年学生代表として舞台に立ち、統一への思いを語り、「ハナ(一つ)」という歌を歌いました。統一旗で埋め尽くされて熱気に満ちた会場、感動的な公演、開かれた一体感。私たちはあらためて統一運動は多くの人のものだということを実感しました。そして「出会いこそが統一だ」ということを心の底から実感し、南北海外の同胞たちと再会することを固く誓いあいました。

その他にも、分断の現実を文字通り目の当たりにした高城統一展望台、韓国民主化の歴史を学んだ南営洞人権博物館なども参観し、国内の統一運動の同志たちとの交流の中から多くのものを学ぶことができました。

在日同胞青年と祖国を正しくつなぐという私たちの運動の今後の方向性にも、大きな成果を持って帰ることが出来たと思います。

明らかになった課題とこれからの展望

平昌オリンピックは歴史的な平和の祭典となりました。南北の和解と交流の動きは祖国の凍てついた氷雪を溶かす春を呼び込み、戦争から平和へと向かう朝鮮半島に世界中が惜しみないエールを送りました。そして平昌オリンピックは、国名「コリア」、国歌「アリラン」、国旗「統一旗」という、まさに「統一された姿」を実際に具現化して示しました。統一に対する実感。これが今回の平昌オリンピックが人々にもたらした最も大きな変化だったのではないでしょうか。

しかし、開幕式の南北合同入場に対して唯一祝福の拍手も送らず、北側の人士との対話を避けるためにレセプションをも欠席した国があります。米国とそれに同調する日本です。平和ムードに危機感を露わにした安倍首相は、文大統領に対して韓米合同軍事演習の実施さえ要求しました。また弱っているとは言え韓国内の反統一勢力も醜悪な本性を露わにしています。誰が朝鮮半島の平和と統一に反対しているのか、世界中がより鮮明に認識することになりました。

それにも関わらず、今回の代表団に参加した誰もが、日本に戻ってきてからのギャップに驚いています。「政治利用」だ「微笑み外交に騙されている」だという批判や揶揄ばかりで、平和や統一に向けて動いている現実が全く伝えられていません。日本にとって朝鮮半島は「戦争が起こりえる危ない地域」でなくてはならないのでしょう。私たちの課題の一つは、実際に目で見て感じたありのままを在日同胞青年たちに知らせていくことだと思っています。そして日本においても、平和と統一を求めるより広範な在日同胞、多くの日本の人たちとつながることが必要だと思っています。

今回の成果を平和と統一の実現へと活かして行くことを南北は約束しています。今後南北関係の改善は一層発展、拡大していくでしょう。朝鮮半島での反戦平和の実現はアジア、世界の平和に直結します。これからは朝米関係を発展させながら第3回目となる南北首脳会談を実現させることができるかどうかが、最も重要な課題になります。平昌オリンピックで開いた平和と統一の大切な蕾を、私たち青年の力をあわせて必ず開花させていくことが、今回の代表団に参加した私たちの使命だと思います。

最後に、韓青の同志、韓統連中央をはじめ多くの先生、先輩方の協力によって今回の代表団事業を行うことが出来ました。物心両面の支援に感謝しながら、今後の運動の推進によって成果を還元できるように肝に銘じて、これからの活動に邁進していきます。

 

 

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