歴史的な板門店宣言の履行のための軍事分野合意書

南と北は、朝鮮半島での軍事的緊張状態を緩和し信頼関係を構築することが、恒久的で強固な平和を確保するために必須であるという共通認識から、「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」を軍事的に徹底して履行するために、次のように包括的に合意した。

  1. 南と北は、地上と海上、空中を始めとするすべての領域で、軍事的緊張と対立の根源となる相手方への一切の敵対行為を全面中止することにした。
    ①双方は、地上と海上、空中を始めとするすべての領域で武力衝突を防止するために、多様な対策を講じた。  双方は、軍事的衝突を引き起こす可能性があるすべての問題を平和的な方法で協議・解決し、どのような場合にも武力を使用しないことにした。
    双方は、どのような手段と方法でも、相手方の管轄区域に侵入または攻撃したり占領する行為をしないことにした。
    双方は、相手方を標的とした大規模な軍事訓練および武力増強の問題、様々な形態の封鎖・遮断および航行妨害の問題、相手方への偵察行為の中止問題などに関し、「南北軍事共同委員会」を稼動し協議することにした。
    双方は、軍事緊張の解消および信頼構築に応じて、段階的軍縮を実現していくことで合意した「板門店宣言」を具現するために、これと関連する多様な実行・対策を継続協議することにした。
    ②双方は、2018年11月1日から、軍事境界線一帯で相手方を標的とした各種の軍事演習を中止することにした。
    地上では、軍事境界線から5km以内での砲兵射撃訓練および連隊級以上の野外機動訓練を全面中止することにした。
    海上では、西海の南側・徳積島以北から北側・椒島以南までの水域、東海の南側・束草以北から北側・通川以南までの水域で砲射撃と海上機動訓練を中止し、海岸砲と艦砲の砲口・砲身にカバーの取り付けおよび砲門の閉鎖措置をとることにした。
    空中では、軍事境界線の東・西部地域の上空に設定された、飛行禁止区域内での固定翼航空機による空対地誘導武器射撃など、実弾射撃を伴う戦術訓練を禁止することにした。
    ③双方は、2018年11月1日から、軍事境界線上空に全機種の飛行禁止区域を次のように設定することにした。
    固定翼航空機は、軍事境界線から東部地域(軍事境界線標識物第0646号から第1292号までの区間)は40km、西部地域(軍事境界線標識物第0001号から第0646号までの区間)は20kmを飛行禁止エリアに設定する。  回転翼航空機は、軍事境界線から10km、無人機は東部地域で15km、西部地域で10km、気球は25kmとする。
    ただし、山火事の鎮火、地・海上の遭難救助、患者搬送、気象観測、営農支援などで飛行機運用が必要な場合には、相手方に事前通報し飛行できるようにする。民間旅客機(貨物機を含む)については、上記の飛行禁止区域を適用しない。
    ④双方は、地上と海上、空中を始めとするすべての領域で、どのような場合でも偶発的な武力衝突の状況が発生しないよう対策をとることにした。
    このために地上と海上では、警告放送→2次警告放送→警告射撃→2次警告射撃→軍事的措置の5段階、空中では、警告の交信と信号→遮断飛行→警告射撃→軍事的措置の4段階の手順を適用することにした。
    双方は、変更された手順を2018年11月1日から施行することにした。
    ⑤双方は、地上と海上、空中を始めとするすべての領域で、どのような場合でも偶発的な衝突が発生しないよう、常に連絡体系を稼動し、非正常な状況が発生した場合、直ちに通報するなど、すべての軍事的問題を平和的に協議し解決することにした。
  2. 南と北は、非武装地帯を平和地帯にするための実質的な軍事的対策を講じすることにした。
    ①双方は、非武装地帯内の哨戒所(GP)をすべて撤退するための試験的措置として、相互1km以内で近接している南北の哨戒所を完全に撤去することにした。
    ②双方は、板門店の共同警備区域を非武装化することにした。
    ③双方は、非武装地帯内で試験的に南北共同遺骨発掘を進めることにした。
    ④双方は、非武装地帯内の歴史遺跡に関する共同調査および発掘と関連した軍事的保障対策を継続協議することにした。
  3. 南と北は、西海の北方限界線一帯を平和水域として偶発的な軍事的衝突を防止し、安全な漁業活動を保障するための軍事的対策をとることにした。
    ①双方は、2004年6月4日の第2回南北将官級軍事会談で署名した「西海海上での偶発的な衝突防止」と関連する合意を再確認し、全面的に復元・履行することにした。
    ②双方は、西海上での平和水域と試験的共同漁業区域を設定することにした。
    ③双方は、平和水域と試験的共同漁業区域に出入りする人員や船舶の安全を徹底して保障することにした。
    ④双方は、平和水域と試験的共同漁業区域内での違法操業取り締まりと南北漁民の安全な漁業活動保障のために、南北共同巡視方案を設け施行することにした。
  4. 南と北は、交流・協力および接触・往来の活性化に必要な軍事的保障対策を講じることにした。
    ①双方は、南北管理区域での通行・通信・通関(3通)を軍事的に保障するための対策を設けることにした。
    ②双方は、東・西海線鉄道および道路の連結と近代化のための軍事的保障対策を講じることにした。
    ③双方は、北側船舶の海州直航路の利用と済州海峡の通過問題などを、南北軍事共同委員会で協議し対策を設けることにした。
    ④双方は、漢江(臨津江)河口の共同利用のための軍事的保障対策を講じることにした。
  5. 南と北は、相互の軍事的信頼構築のための多様な措置を講じることにした。
    ①双方は、南北軍事当局者間の直通電話の設置および運用上の問題を継続協議することにした。
    ②双方は、南北軍事共同委員会の構成および運営に関する問題を具体的に協議し解決することにした。
    ③双方は、南北軍事当局間で採択されたすべての合意を徹底して履行し、その履行状況を定期的に点検・評価することにした。
  6. この合意書は、双方が署名し、それぞれ発効に必要な手続きを経て、その文書を交換した日から効力を発生する。
    ①合意書は、双方の合意に基づき修正し補充することができる。
    ②合意書は2部作成され、同じ効力を有する。

2018年9月19日

大韓民国 国防部長官 宋永武     朝鮮民主主義人民共和国 人民武力相 人民軍大将 努光哲

 

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