韓青は、在日韓国人青年の団体です。中央本部をはじめ、全国8ヶ所に地方本部
があり、在日韓国人青年対象のウリマル(母国語)教室を中心に、地域に密着した活動を展開しています。いま、
日本の中で空前の「韓流」ブームが沸き起こっています。韓国の俳優が来日する時には空港に数千人のファンが
駆けつけ、ソウルに行けば日本語の看板がどこかしこと並んでいます。韓国の中でも日本の文化は大量に流入し、
韓日の距離はここ数年で急速に縮まっているといえるでしょう。 しかし、「韓国に住んでいる韓国人」に対する関心が高まる一方で、日本に定住している韓国人、いわゆる
「在日」の存在はどこかほったらかしにされている感が否めません。なぜ韓国人が韓国人と名乗れないのか?それは、在日韓国人の若者の中に「自分が韓国人
である」ということに対する自信や、根拠が少ないためです。日本では、いまだ外国人に対する民族教育が不十
分であり、自分の民族の言葉、名前、文化に対する素養がまったくといっていいほどありません。韓国人と名乗
ったところで、「じゃあ、韓国の○○のことしってる?」といわれても、答えられないわけです。これは名乗
りづらい・・・韓青では、そのような在日韓国人青年たちが、母国語をはじめとした民族性を少しでも身につ
け、「私は韓国人なんです!」と堂々といえるような社会を作ることを目的としています。在日青年の民族性の
涵養こそが、現在の韓青の中心課題といえるでしょう。 また、そのためには、祖国の分断を解消し、自主的平和統一が必要不可欠です。韓青では
、結成以来40年以上、祖国の統一にむけて運動を続けてきました。2000年
の6・15南北共同宣言が発表されて以降は、南・北・海外を網羅する6・15共同委員会の一員として、統
一運動を進めています。さらに、在外同胞のネットワークづくりにも励んでおり、在外同胞共通の課題に対し
て取り組んでいくよう努力しています。在日韓国人青年たちが、自己を確立し、同胞社会や、統一祖国の発展
に貢献できるよう、今日も韓青は前進し続けます。
【綱領】
- われわれは、在日韓国青年の総力を結集し、祖国の完全なる統一・独立のために献身する。
- われわれは、すべての非民主主義的勢力に反対し、民主主義の正しい発展と実践のために努力する。
- われわれは、心身を鍛練し、教養を高め、友邦国家の青年たちと提携し、真正な世界平和の建設に寄与する。
- われわれは、在日韓国青年の民族意識を高め、在日居留民の権益擁護のために全力を尽くす。
(1)祖国の自主的平和統一の実現
全民族の悲願である祖国統一は、2000年6月の歴史的な南北首脳会談で出された"6・15南北共同宣言"
として前進を見ることができました。しかし統一の実現にはまだまだ克服しなければならない課題が山積してい
ます。私たちは、南北ともに、どの誰もが思想・信条・所属・信仰を妨げられることのない人権国家、民族の自
主性が尊重され、他国によって主権が脅かされることも、他国の主権を脅かすこともない自主的な祖国、発展し
た民主主義が社会の秩序を成し、弱者が踏みつけられることのない統一祖国を建設することを願っています。ま
た、真に海外に居住する同胞の後ろ盾となる祖国をもちたいと考えています。その意味で、在日同胞の立場から
南北両政府に働きかけていくことが必要だと考えています。
(2)民衆が主人公である社会の建設
韓国では、分断後数十年間軍事独裁政権が政権を握ってきました。その中で、祖国の統一、民主化を願う多く
の人々が無実の罪で投獄・処刑されるような非民主的な蛮行が繰り返し行われてきました。
私たち韓青も、祖国の民主化・統一を願い活動してきたことに対して、「国家の敵」というレッテルを貼ら
れ、長きにわたって祖国への訪問を拒否され続けてきたのです。
しかし、韓国社会内での粘り強い民主化運動の結果、韓国社会は徐々に民主化を達成しつつあります。その証
左として、私たち韓青も、2004年10月に訪問団を結成し、数十年ぶりに韓国の地を踏むことが出来るようになり
ました。私たちは、民衆一人一人が主人公である民主的な社会建設を目指しています。
(3)暴力による支配の構造をなくし、平和な世界の創造
私たち民族は19世紀から20世紀の初頭、世界が植民地強奪戦を繰り広げた時期に祖国を奪われました。
そして戦後は東西冷戦下、周辺大国の思惑の中で祖国を分断されました。このような世界の動きの中で産み落
とされた存在である私たちは、祖国の歴史を学び、在日同胞の解放を目指す過程で、超大国による覇権主義が、
世界の被抑圧民族を苛酷に蹂躙してきた現実を目の当たりにし、暴力が支配する世界の構造を変えていくこと
の必要性を感じるようになりました。
特に最近では、米がイラク侵略を筆頭として、国際法すら無視し、自国の利益のためだけに理不尽な侵略、
破壊行為を行っていることに大きな危惧を抱いています。同時に、日本の中での極端な右傾化、軍事大国化に
対しても断固反対の姿勢を持っています。
暴力による支配構造を、対話と信頼、相互尊重と民主主義の原則で成り立つ世界へ、そして排外的な価値観
や画一的な価値観を、他を尊び違いを豊かさへと転換できる社会に変えていくことを目指しています。
(4)在日同胞が堂々と生きるための権利獲得
私たちは、民族名や国籍が"不利"とされる社会を糾し、どの誰もが自民族・自分を尊ぶことが保障される社会
の実現を目指しています。
「聞かれたら隠しはしないけど、自分からわざわざ言おうと思わない。」
「なかなか就職が決まらないから日本名にしようかと悩んでいる。」
「日本に住むからこだわる必要はない。」
在日同胞青年の多くが持つこのような考え方はどこからきたものでしょうか?韓民族であることが不利とされ
てきた日本社会を反映したものだと言えるでしょう。
能力のある人、決意した人、勇気のある人が民族名を名乗り「在日朝鮮人」であることを明らかにして生きら
れる−というのではなく、どの誰もが、自分のルーツ・民族名を明らかにして、それが何ら"不利"にはなりえな
い社会、仲間とともにのびのびと自分の個性を発揮して生きれる社会を実現したいと考えています。
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